らせん描写課題を用いた振戦疾患病態評価・リハビリテーションシステムの開発の目的で以下の研究を行なった。 1 アルキメデス螺旋(以下[螺旋])を用いた振戦疾患病態評価システムの開発 各種振戦疾患の病熊評価を目的に、螺旋描写課題を用いた振戦疾患病態の定量評価システムを開発した。本システムは、タブレットPC、3軸型加速度計により被験者の螺旋描写中の描写図形および上肢振戦加速度を計測し、定量的に評価するものである。平成18年度に試作したシステムに、課題作成提示、時系列ペン座標集録、筆跡表示の有無を追加し、パーキンソン病(PD)、本態性振戦疾患(ET)患者を対象に計測を行った。その結果、筆記加速度実効値とPDのYahrの重症度分類との間に高い相関がみられ、病態評価システムとしての有用性がみられた。また、筆跡の有無が描写時の加速度、図形に影響を与えることがわかり、病態評価及びバイオフィードバック(BF)システム構築のための知見が得られた。 2 振戦疾患リハビリテーションシステムの開発 PD、ETの振戦を患者自身が随意的に抑制することを目的としてBFを用いた振戦抑制訓練システムを開発した。平成18年度に行なった座位安静時振戦抑制の短期BF訓練の結果を踏まえ、6ヶ月間の長期BF訓練を実施した。BF訓練の結果では、個人差が大きくBF群として有意にその効果を確認することはできなかったが、個々の被験者についてみてみると振戦加速度実効値が下がる傾向も見られ、訓練方法等を検討することにより効果的な振戦抑制BF訓練システムとなる可能性がみられた。さらに、被験者の中には、本システムを使用することによって普段認識していなかった振戦の制御について気付くことができた人もおり、訓練システムによる二次的な効果を得ることができた。
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