研究概要 |
(研究1)等尺性トレーニングと等張性トレーニングが腱のステイッフネスおよび血液量に及ぼす影響 被検者10名を対象にして、3ヶ月間の等尺性および等張性膝伸展トレーニングを実施した。最大筋力および筋体積の増加率には、両トレーニング様式による差は認められなかった。腱ステイッフネスは、等尺性トレーニングで有意に増加したのに対し、等張性トレーニングでは変化がみられなかった。逆に、腱血液量は等尺性トレーニングで変化がみられなかったのに対し、等張性トレーニングではトレーニング後に有意に増加した。以上の結果より、トレーニングに伴う腱血液量の増加が十分になされないと、腱内において過剰なコラーゲン生成が生じ、その結果として腱ステイッフネスが著しく増加することが示唆された(Kubo, et.al. 2009 J Appl Physiol)。 (研究2)温熱刺激と鍼刺激が腱の血液循環に及ぼす影響 ホットパックによる10分間の温熱刺激とアキレス腱部に対する10分間の鍼刺激、およびその後30分間の回復過程におけるアキレス腱の血液量および酸素飽和度の変化を測定した。両刺激ともに刺激中は腱の血液量が有意に増加したが、回復過程においては温熱刺激は腱血液量が減少するのに対し鍼刺激では増加する傾向を示した。また、両刺激ともに回復過程における腱の酸素飽和度は安静時よりも有意に高かった。以上の結果より、両刺激によって腱内の血液量や酸素濃度が高まることが明らかになり、これらの現象が腱障害の治療に貢献している可能性が示唆された(論文投稿中)。
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