季節による睡眠温熱環境の変化が、幼児と母親の睡眠に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、調査と実験を行った。幼児と母親の睡眠温熱環境に関する実態調査では、平成19年度は母親と幼児の睡眠温熱環境を春、夏、秋、冬の4期に同一対象者で調査し約190名のデータを取得した。調査用紙は温湿度計と共に配布し、寝室の温湿度の測定、幼児と母親の就寝、着衣条件、睡眠感、温冷感、快適感等の記入を各季節に一週間毎に4回記入してもらった。現在解析中であるが、夏期の結果では、28℃以上の寝室の温度が50%を超えると、空調機器の使用と使用時間、夜間の変更回数が増加し、就寝中の不快感や暑熱感、覚醒回数が増加していた。今後は他の季節との比較を行う予定である。 実験では、季節による睡眠温熱環境の変化が幼児と母親の睡眠に及ぼす影響を検討した。心身ともに健康な母親と幼児20組を対象とし、春、夏、秋、冬に実験を行った。各季節に居住環境の温湿度、アクチグラフを一週間連続測定した。アクチグラフの測定期間中の夜間に皮膚温、衣服内温湿度、自律神経活動の測定を2夜行い、就寝状態、主観的睡眠感、温冷感、快適感の申告をしてもらった。平成19年度は20組すべての測定を終了し、データ解析中である。秋期の結果では、幼児で母親よりも夜間睡眠中の活動量が有意に増加し、睡眠効率が低下していた。また、胸と足背の皮膚温、足部の寝床内温度は幼児で母親よりも有意に低かった。また、秋期でも90%の幼児は何も掛けずに眠っており、幼児と母親では同じ環境で就寝しても、睡眠および体温調節が異なることが示唆された。また、冬期との比較を行った結果では、低温環境でも睡眠には幼児、母親ともに秋期との差は見られなかった。しかし、寝床内温度の上昇が遅れ、母親の就寝中の快適感は有意に不快側であった。今後は他の季節との比較を行う予定である。
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