研究課題
本年度は、昨年度までに検討したプロトタイプのデバイスを用い、実際に重症心身障害・者を対象とした教育的支援への適用を試みることを目的とした。まずプロトタイプのデバイスを重症心身障害児・者の療育施設職員に利用していただく機会を設け、デバイスの利用における問題点を明らかにした。その結果を受けてプロトタイプの改善を行った。改善後にデバイスを実際に重症心身障害児・者の教育や療育に利用する機会を設けた。様々な刺激呈示に対する反応についての確認や、コミュニケーションに良い状況を踏まえた働きかけに関して確認を行った結果、本システムの有効性を確認した。一方で実際に教育・療育に利用してみてインタフェース上の課題が得られたので、再び改善を行った。このような教育的支援に関する検討と並行して、関係者がローコストで調達可能なシステム構成についても検討を行った。ここでは、国内だけでなく海外の関係者の利用も想定して検討を実施した。その結果、必要最小限の構成で当初のプロトタイプと同等の処理を実施することが可能なシステムを試作することができた。以上により、本年度は研究最終年度として重症心身障害児・者のためのコミュニケーション支援システムの開発および教育的利用の検討が行われた。実際に試用した結果、システムの教育効果が確認されたといえ、本研究の成果が重症心身障害児・者の教育・療育支援の分野にもたらすものは少なくないと考える。
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