本研究課題では、これまでに研究代表者が中心となり開発してきた全球エアロゾル輸送・放射モデルSPRINTARSをベースとして、全球エアロゾル分布予報モデルを構築し、数日先までの予報を1日1回計算して公開することを目的とした。最終年度である本年度は、エアロゾル予測システムを本格的に運用し、予測結果が毎朝定期的に更新されるようにシステムを安定化させた。また、人工衛星による準リアルタイムのホットスポットのデータを毎日取得し、エアロゾルおよび前駆気体の発生量に変換して、不規則で突発的な森林火災による排出源に対応した。その他、観測値との比較を通したモデルの改良を重ねたところ、日本域では4〜5日後までは高精度で予測できることが確認された。 SPRINTARSによるエアロゾル予測の結果を掲載するホームページでは、全球およびアジア域のエアロゾル分布予測の動画を閲覧できる他、日本12地域のエアロゾル濃度は4毅階に分類することにより、一般にも理解しやすい表現を採っている。環境省と気象庁の共同ポータルサイトである「光化学オキシダント関連情報提供ホームページ」(http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/oxidant/)からリンクが張られ、一般向けへの情報提供が可能となった。アジア大陸での急速な経済発展に伴う日本への越境大気汚染の増大が懸念されており、本システムが日々の社会活動にとって有益な情報を提供している。今年度の研究成果として、2件の査読論文発表と6件の学会口頭発表を行った。
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