研究課題
課題1:成長パターンの解明北西部北太平洋に分布する中型〜大型カイアシ類について、各発育段階の成長パターンを検討した。これらカイアシ類は、脱皮ごとに乾燥体重、体成分、体内に蓄積された油球が指数関数的に増加し、この増加は頭胸部長で曲線回帰できた。深所で餌を取らずに産卵するカイアシ類では、成体までに乾燥体重における炭素の増加割合が高い傾向を示し、卵生産や越冬に必要な体組織や油球などを体内に蓄積することが示唆された。課題2:発育段階組成、ステージ滞留時間の推定北西部北太平洋で高頻度で採取された時系列標本について、大型カイアシ類の個体群構造を解析した。6月以降に大型カイアシ類の初期コペポダイト幼体が浅所にみられ、8月までに発育段階の進行が認められた。越冬ステージが個体群で卓越すると、逐次深所へ移動することが分かった。ステージ滞留時間は、コペポダイト1期幼体で12.2日、コペポダイト2期幼体で17.2日と推定された。課題3:成長速度の推定課題課題1・2の成果から、大型カイアシ類の成長速度の推定を試みた。乾燥体重とステージ滞留時間から成長速度を算出すると、コペポダイト1期幼体で0.04day^<-1>、コペポダイト2期幼体で0.06day^<-1>と推定された。課題4:疑似コホートによる飼育実験疑似コホート法が確立されている亜熱帯海域でカイアシ類の成長速度を推定し、この手法が北部北太平洋に分布するカイアシ類にも適切かどうかを検討した。成長速度は0.01〜0.31day^<-1>と推定されたが、飼育開始時の日齢組成、飼育中の死亡、飼育中に産出された卵からの新規加入によって、成長速度が大きくばらつくことが示唆された。世代時間が長い中型〜大型カイアシ類ではこれらの影響をより強く受ける可能性があり、疑似コホート法は本研究で対象とするカイアシ類に不向きであることが分かった。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
South Pacific Study 28(印刷中)
Memoirs of the Faculty of Fisheries, Kagoshima University 55(印刷中)
PICES Scientific Report 32
ページ: 68-70