研究課題
課題1:カイアシ類の発育段階組成の解析親潮域の春季ブルーム時に、急激な成長を遂げるカイアシ類の個体数密度と発育段階組成を解析した。Neocalanus cristatusとEucalanus bungiiが多く出現し、前者はコペポダイト幼体後期への推移、後者はノープリウス幼生からコペポダイト幼体への加入が認められた。課題2:成長過程における餌組成の解析親潮域の春季ブルーム時に、急激な成長を遂げる主要カイアシ類の餌を明らかにするため、腸内色素解析および摂餌実験を行った。カイアシ類の餌は植物由来の餌が7割以上を占め、環境中の植物プランクトン濃度の変動と同調した。大型の中心目珪藻・渦鞭毛藻は成長を支える餌であり、ブルームが減退する頃には無殻繊毛虫、有鐘繊毛虫、独立栄養ナノ鞭毛藻も重要な餌となった。大型個体が多くなるとその成長を支えるために摂餌速度が増加し、植物プランクトンブルームに対する摂餌圧がかなり高くなることが分かった。また、これらカイアシ類の無殻繊毛虫や有鐘繊毛虫に対する捕食によって、繊毛虫の餌となるピコプランクトンが増える現象(トロフィック・カスケード効果)も、実験環境中では認められた。課題3:脱皮率法による成長過程の解析脱皮率法を使った飼育実験により、親潮域の春季ブルーム時における主要カイアシ類の体重増加、ステージ滞留時間を求め、瞬間成長実験を推定した。脱皮・未脱皮個体の体重測定により、同じ発育段階内で体重が指数関数的に増加しており、発育段階内に日齢構造があることが示唆された。Neocalanus flemingeriとN.plumchrusのコペポダイト幼体中期において、ステージ滞留時間は12〜18日前、瞬間成長速度は0.02〜0.05day^<-1>であり、水温が低くなると瞬間成長速度が低くなる傾向が認められた。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (19件)
Memoirs of the Faculty of Fisheries, Kagoshima University 56
ページ: 45-54
Deep-Sea Resarch II 54
ページ: 2748-2759
鹿児島大学総合研究博物館ニューズレター 17
ページ: 5