研究課題
様々な濃度(0.005-10mM)のアルミニウム(Al)を1日添加する実験を行い、ヨーロッパグリ、ポプラ、ヨーロッパブナ、スギ苗の根のカロース量を測定した。前3種ではアルミニウム1日添加により根端にカロース形成が有意に蓄積された。ヨーロッパグリ苗では、酸性化の進んでいる森林土壌でもカロース蓄積が認められた。さらにポプラ苗では、CuやZn添加ではカロース蓄積が認められず、根端におけるカロース蓄積がAlに特異的な反応である可能性が示唆された。しかしながらスギ苗ではいずれの処理区でも対照区(0mM)と有意差は認められなかった。5mMのアルミニウムを一週間、スギ苗に添加しても同様であった。カロース合成促進剤であるジキトニンをスギ苗の根に1日添加したところ、対照区に比較してカロース形成量は有意に増加した。根呼吸量の指標として、スギ苗の根における酸素消費量を測定したものの、1日のアルミニウム処理、ジキトニン処理では、対照区に比べて有意な差は認められなかった。ヨーロッパブナ苗における根呼吸量の指標としてTTC還元量を、1日アルミニウム処理後に測定したところ、アルミニウム濃度が増加するにすれ減少する傾向にあったもののその差は有意ではなかった。この結果は、アルミニウムストレスの指標として、根呼吸量よりも根端カロース形成が有効である可能性を示唆するものである。これらの結果から、土壌酸性化の樹木指標として根のカロース蓄積量は、樹種により大きく異なり、ヨーロッパグリやポプラなどでは有効なものの、スギでは有効でない可能性が示唆された。
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Tree Physiology 27
ページ: 313-320
Tree Physiology 26
ページ: 431-440
第117回日本森林学会大会学術講演集
Abstract book of Roots, mycorrhizas and their external mycelia in carbon dynamics in forest soil.