直鎖構造を有する有機酸アニオンを層間にインターカレートした層状複水酸化物(Mg-Al LDH)をカラムに充填し、難分解性有害有機物質を含有した水溶液の連続処理に関する基礎研究を行った。 現在までに、ドデシル硫酸イオンで修飾したMg-Al LDH(DS・Mg-Al LDH)が、バッチ式試験において、水溶液からビスフェノールA(BPA)を捕集でき、その後エタノールによる抽出処理を行うことにより、エタノール中に高濃度で有機物を濃縮できることを明らかにしている。そこで本研究では、DS・Mg-Al LDHをカラム内に充填し、BPA水溶液とエタノール溶液を交互に流すことにより、BPAの捕集及び抽出処理を連続的に行うことを検討した。 グラジエントポンプを利用し流通条件に従って、イオン交換水、エタノール及びBPA溶液を、カラム(DS・Mg-Al LDH充填量0.5g、カラム容量φ4.6×48mm)に合計流量が1.5ml/min.となるように流通させた。また、カラム流通後の吸光度(280nm)を測定することによりBPA存在量を確認した。BPAが流通しているとき、カラム無しでは、BPAの流通に従い吸光度が測定された。しかし、DS・Mg-Al LDH充填カラムを通過させた場合、吸光度は0のままであり、BPAの存在が確認されなかったため、カラム内のDS・Mg-Al LDHに捕集されていることが示唆された。また、エタノールを流通させるとカラム無しでは吸光度が確認されなかったが、カラムを通過させた時は強い吸光度が確認された。これは、エタノール流通により、カラム内DS・Mg-Al LDHに捕集されたBPAが抽出されたことを示している。以上より、DS・Mg-Al LDHを充填したカラムにBPA溶液とエタノールを交互に流通させることで、BPAの捕集と抽出を連続的に行えることがわかった。
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