ナノ構造を持つ多元素複合クラスターの生成方法を開発し、それを用いたナノ構造材料創成技術を開発することを目的として、初年度であるH18年度は層状クラスター作成を行うためのシステムの構築、核となる初期クラスター生成技術の開発、及び多元素複合クラスターに関する情報収集を中心に研究を行った。ガスクラスターを出発点として、金属や有機物など異種の材料を周囲に被覆するために初期クラスター生成装置及び金属材料被覆装置を開発した。これらの装置は、既存のクラスターイオンビーム照射装置に連結し、層状クラスター作成システムを構築した。出発点となるガスクラスターとしてはノズルから真空中への高圧ガスジェット噴流を用いてArガス材料のクラスターを生成した。初期クラスター生成装置には大型の試作ノズルが取り付けられるようになっており、形状の異なる大型のノズルを試作し、それらを用いてノズル形状や生成条件の探査を行うことで、層状クラスター形成に必要と考えられる強度の強いガスクラスターの生成を行った。金属材料被覆装置はクラスターイオンビーム照射装置内でのるつぼ加熱試験を行い、金属材料被覆に必要な温度までのるつぼ加熱を行うとともに、当該温度における照射装置内の真空度への影響を評価した。また、国内外の学会等において、クラスターの生成や輸送、及び応用に関する研究発表を行い、国内外研究者と意見交換するとともに、多元素複合クラスター形成とその応用に関する情報収集を行った。
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