研究概要 |
昨年までに、レゾルシノールと1,5-ペンタンジアールを塩酸を触媒として用い、エタノール中で反応させると、ラダー型環状オリゴマー(noria)が選択的に合成されることを見出している。本年度は、その反応拳動を詳細に検討し、動的共有結合化学に基づいて進行することを明らかにした。さらに、反応中間体の構造を明らがにすることにも成功した。noriaの水酸基に、光脱保護基を導入すると溶解性、製膜性、さらには電子線や極端紫外線などに高感度なレジスト材料であることを明らかにし、高解像度な次世代分子レジストとして応用可能であることを明らかにした。具体的には、電子線レジストとして、ラインアンドスペース=50nmまでのパターン特性を示し、極端紫外線レジストとしては、ラインアンドスペース=28nmまでのパターン特性を示すことを明らかとした。さらに、今後、光脱保護基の選択によっては、さらに高解像度パターン特性を示す可能性もあると期待できる。また、動的共有結合化学反応システムにおいて、レゾルシノールと1,4-ブタンジアールの縮合反応では、定量的にラダーポリマーが合成されることを明らかにした。得られたラダーポリマーは、屈折率が1.48程度であり、同様な構造を有するフェノール樹脂と比較すると、屈折率が低いことが判明した。このことは、内部に空孔を有するラダーポリマーであることから、低誘電性を有することを示唆した。
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