研究課題
紫外線照射下における光酸化反応をサブ原子層レベルの感度で実時間計測に成功し、IEEEのSensors JournalのLetterに掲載された。具体的には、半導体マイクロマシニングの技術で独立振動するように加工された2チャンネルの水晶振動子微小天秤(QCM)センサのアレイを試作し、参照用センサと試料用センサの周波数温度特性の差が室温から60℃の範囲で1Hz以下のセンサアレイを選定し、試料用センサにアルキルチオールの単分子膜を被覆した。このセンサアレイに紫外線を照射し、4日間に渡りゆっくりと光酸化反応を計測した。その結果、質量増加による40Hzほどの共振周波数の低下が観測され、その質量変化量は、チオール1分子に対して酸素原子が3つ反応している量に対応した。反応終了後に、再度照射した場合および未処理の場合には2Hz以内の変化しか示さなかったことから光酸化反応による周波数低下であることが確認された。以上に述べたように、QCM法ではじめて環境変化を与えながら原子層レベルの変化を長期間にわたって、リアルタイムで計測することに成功した。従来は、このようなナノ界面の反応ダイナミクスは反応を停止して測定されており、本研究は、新たな界面の研究手法としても大きな一歩と言える。また、標準的なQCMセンサでは、数分間で1Hzの安定性を得ることも困難であるが、本センサは、温度制御なしで数日間に渡り、2Hz以下(サブ原子層レベルに対応)の安定性を得ることに成功した。これも、QCMセンサの汎用目的への応用上重要である。以上の初年度の研究実施計画の目的を達成すると同時に、QCMセンサの固定やセンサ膜の修飾のための表面処理技術についても研究を実施し、テフロン系材料の親水処理、接着性の向上などの技術も開発された。
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