研究概要 |
本年度は、ポリ(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)(PMPC)とポリ(グリシジルメタクリレート)(PGMA)からなるブロックポリマーブラシ上に抗体を集積し特定のバイオ分子を高感度に計測するための基板創製を目的とし研究を実施した。 効率よくかつ比較的温和な条件でタンパク質や遺伝子を集積するために、PGMAのエポキシ基をピリジルジスルフィド基に変換した。ブロックポリマーブラシを調製したウエハをEDTA、ジチオスレイトールを含む炭酸バッファー(pH8.5)中に浸漬し、ポリマーブラシのエポキシ基をチオール基に変換し、さらに、2,2-ジチオピリジン、2-チオピリドンの混合溶液に浸して、ピリジルジスルヒド基を導入した。ピリジルジスルヒド基の導入はX線光電子分光計により硫黄元素の濃度を測定することにより確認した。ブロックポリマーブラシの密度、分子量、シークエンス制御とピリジルジスルヒド基の導入量の関係を明確にした。 Fabフラグメントに断片化した抗体の固定化量はPGMAブラシの分子量が増すにつれ増加し、エポキシ基を末端に持つシランカップリング剤で調製した単分子膜に固定化した量に比べ著しく最大で6倍程度固定化量を増やすことができた。また、トリクロロメチルシランで表面に凹凸を形成させた後にポリマーブラシを調製したところ、平滑な基板を用いた時に比べ約60倍の抗体を固定化できることが分かった。
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