研究課題
昨年度製作した、高精度偏光無依存型光サーキュレータをライダー装置に組込み、ライダー実観測を行った。インライン光学系を採用しているため、数十mからライダーエコーの計測が可能である。また、p偏光、s偏光成分をバランスをとって射出し、作動検出を行うことで偏光解消度も30dB以上の精度で計測が可能である。また、視野角は0.177mrad.と狭いため、背景光除去に効果的なだけでなく、多重散乱の除去も図れている。インライン型光学系では各光学素子が送信光を反射し、受光器を飽和させる問題をもつ。光サーキュレータの各光学素子を光軸に対して僅かに傾け、正反射光を受光器に戻さない工夫を施すとともに、受光器にはゲート機能付きの光電子増倍管を用いた。レーザ送信光を発射し光学系を通り抜けた後に受光器にゲインを与え、正反射光の影響を取り除いている。近距離エコーを計測し、そのデータに距離二乗補正を施し、対数表示をすることで大気の消散係数を得ることができる。求めた消散係数から視程を算出し、その結果が気象庁による公称値と一致することを確認した。また、低空の雲の挙動を時間変化を通して観測した。レーザの繰返しは10Hzではあるものの、ジャイアントパルス(200mJ@532nm)を用いたことで、少ない繰返し数で20kmに及ぶ遠距離までの観測が可能となった。近距離が観測できることから、豪雨や落雷を伴う急峻な低空雲の挙動にも追従できる。現在、低繰返しで高精度な計測を可能とするために、ノイズ除去ならびにデータ取得方法の改善を図っている。今後は通年での実観測を行い、豪雨や雷雲の計測を実現する。その上で、局所的災害の気象因子を導出し、予測へとつなげていく。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Electrical Engineers of Japan Vol. 163, No. 4
ページ: 1-7
電気学会論文誌A 128巻7号
ページ: 478-482
APLS The Review of Laser Engineering Suppleme ntal Volume 2008 Vol.36
ページ: 1279-1282