本研究代表者を含むグループによるこれまでの研究により、菱刈金山地下熱水環境において全くの未培養系統に属するCrenarchaeotaが優占する微生物群集の存在が明らかになり、その微生物群集についての網羅的メタゲノム解析が進行している。本研究ではそのメタゲノムライブラリー中の未培養系統群Crearchaeotaゲノムに特化した研究を行った。先行している網羅的フォスミドクローン解析より、フォスミド末端にコードされるCDSの相同性解析から、アーキア由来のゲノム断片が高確率で選別出来ることが示されている。そこで、本年度はアーキア由来と推測されるフォスミドクローンの高速シーケンスシステムGS20を用いた塩基配列の決定と、これまでに明らかになっているフォスミドクローン末端配列、及び約10の‘アーキア由来'フォスミドクローンの整列化を2度繰り返した。 まず、末端配列から約50クローンを選択して、GS20による解析を行い、約1kb以上のコンティグと、全フォスミドクローンの末端配列、また、既に明らかになっている約10の‘アーキア由来'フォスミドクローンの整列化を試みた。 その結果、アーキア16S rRNA遺伝子を含む約1Mbのゲノム断片を整列化出来たことが明らかになり、この解析方針の有効性が示された。そこで、1度目の解析で明らかになった未解読部を含むクローン及び新たに選択したクローン約80クローンについて、2度目のGS20による解析を行った。現在、2度目の解析で得た配列を合わせた整列化作業を進めている。
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