研究概要 |
平成19年度は、研究目的の4,5,6について主に行った。 まず,統計的に有意な因果関係を持つ遺伝子群について,既知の制御関係との比較検証を行い,開発した手法の評価を行った。具体的には,収集した既知の制御関係データを,1)細胞分裂に関与する制御関係 2)恒常的に行われる制御関係 3)特定の条件下で起こる制御関係の3種類に分類し,分類した既知の制御関係それぞれと,本研究で開発した統計的手法にて推定された遺伝子発現の因果性を比較し,開発した統計的手法によって得られる生物学的知見の正当性評価を行った。次に,統計的に有意な因果関係を持つ遺伝子群について,コードタンパク質の生化学的機能という視点から,推定した因果関係の正当性を評価した。具体的には,Yeast Proteome Database(YPD)やmips,TRANSFACから,出芽酵母・分裂酵母におけるコードタンパク質の生化学的機能に関するデータの収集を行い,推定された因果性について,生命維持における生化学的機能の関係性や転写因子の結合サイトの有無などを調べた。さらに,細胞周期や発生段階における既知の知見から,推定した因果関係の評価を行った。ここでは,ヒト肝臓ガンの進行過程を中心に,各ステージの発現プロファイルデータの収集と整備を行い,各段階における遺伝子発現を測定した発現プロファイルデータから先に確立した遺伝子選択の統計的手法に基づき,ステージ特異的に発現している遺伝子群の選択を行った。さらに,線虫・ショウジョウバエ等,発生研究が盛んなモデル生物について,発生の各段階における遺伝子発現を測定した発現プロファイルデータをSMD以外のデータベースからも網羅的に収集した。
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