研究課題
本年度は実施計画に記載した以下の3つの研究を実施した。(1)単離染色体の切断によるクロマチンブロックの解明。(2)染色体凝縮に関わる蛋白質の抗体作製、及び(3)大きさが異なるクロマチンブロックに含まれる蛋白質の検出、である。(1)については、DNaseやMNase等を用いた染色体切断条件の検討と異なる界面活性剤や超音波処理の利用による切断後染色体の可溶化条件の検討による高い回収率での切断および可溶化に成功した。さらに、密度勾配遠心法の条件を検討し、大きさが異なるクロマチンを分離することに成功した。こうした知見はこれまでには報告されていない。(2)についてはコンデンシンサブユニット5種類それぞれについてC末端ペプチドから抗体を作製し、ウェスタンブロッティングに使用可能であることを確認した。さらに、コンデンシンSMCサブユニットのヒンジ領域の組み換え体の大量発現に成功したため、これを抗原とした抗体作製も行った。得られた抗体が免疫染色やウェスタンブロッティングに使用可能であることを確認した。(3)については、今回作製した抗体を利用して、(1)で分画に成功したクロマチンから蛋白質を抽出、電気泳動後ウェスタンブロッティングにより、コンデンシンが含まれるクロマチンブロックの検出を試みた。同時に染色体スキャフォールド蛋白質として知られているトポイソメラーゼIIも検出を行ったところ、コンデンシンとトポイソメラーゼIIが異なった大きさのクロマチンブロックに含まれており、それぞれの蛋白質が染色体高次構造形成において果たす役割が異なっている可能性が示唆された。以上のように、本年度はこれまで全く分かっていなかった、染色体におけるクロマチンブロックに関する知見を蛋白質との関連から得ることができた。来年度は、これらの蛋白質が他にどんな蛋白質と共にクロマチン高次構造を形成しているかについて質量分析を用いて同定する予定である。
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