研究課題
本年度は、染色体蛋白質として研究担当者が新規に報告したBP74とRBMXを中心とした相互作用ネットワーク解析を行った。昨年度作製したTAP(Tandem Affinity Purification)融合システムをHEK293細胞にトランスフェクションした。なお、タグに対する免疫染色による発現効率の確認を行い、最大効率となる条件のもとで実験を進めた。小スケールでの条件検討の後、大スケールでのTAPへと移行し、最終的にSDS-PAGEで確認可能なレベルの複合体精製に成功した。また、ネガティブコントロールとして、GFPにTAPタグを融合したものを用いた。標的蛋白質(BP74とRBMX)およびGFPの双方に確認されるバンドと標的タンパク質に特異的に相互作用するバンドから質量分析を用いた高感度プロテオミクスにより合計約40種類の蛋白質を同定した。同定の結果、BP74はセントロメア蛋白質と相互作用している可能性が見出された。従って、BP74がセントロメア構造の制御に関わっている可能性があるが、これはBP74のRNAiの表現型と一致している。また、BP74、RBMXの双方とも、特定のヒストンバリアントと相互作用していることも判明した。ヒストンバリアントはクロマチン構造形成に直接関わっている蛋白質である。また、BP74とヘテロクロマチン(高度に凝縮したクロマチン)の主要構成タンパク質であるHP1の組換体の大量発現・精製を行い超遠心分析法により相互作用解析を行った。その結果、BP74とHPIは1:2で相互作用することが分かった。以上よりBP74、RBHX、HP1、ピストンおよびこれらの蛋白質と相互作用する蛋白質として同定された複数の蛋白質がネットワークを形成して染色体高次構造を制御していることが分かった。
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