初年度より継続して手がけてきた『鏨廼花』正編のデータベースを完成させた。このデー夕ベースの整備により、旧蔵者名や作者名での作索の便が各段に向上することとなった。セキュリティ上の問題がクリアできれば、博物館HP上での公開を今後推進したい。 一方、今年度は文書や器物で新発見があった。大阪の実業家・芝川に云わる文書中に含まれる、村利藻の結婚式招待および、光村家の刀剣会案内状がその一点目で、光村家の刀剣会の豪華さや、会の開始時関等の開催事情を知る手がかりを得るための貴重な一次資料として、研究報告書に紹介した。また、この刀剣会で陳列時に用いていたと目される、光村家特注の小柄箪笥を数の個人宅にて調査・確認した。使用品と未使用品とをあったが、いずれも光村家で特別に制作させた、入念の桐箪笥であった。こちらも簡単ながら報告書に紹介した。 また、東京文化財研究所所蔵の売り立て目録中に光村家から売立てられた竹内栖鳳らの近代絵画の目録が複数含まれることを、日出新聞記載の売り立て記事と照合、確認に至った。こちらはこまで旧蔵者不明とされていた目録であり、目録の旧蔵者を特定する意義のある成果であった。 上記を含む、3年間にわたる成果の主要なものについては、報告書にまとめ公開した。
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