研究概要 |
期間3年の初年度においては、医療サービスの構成概念と患者満足に関する先行研究の検討および実際に病院で用いられている患者満足度の質問紙の収集の準備を進めてきた。 まず、先行研究の検討に関して、文献的検討および病院管理学会や商業学会への参加を通じて、主に、次の二点が明らかになった。第一に、医療の質の研究について、「構造(Structure)→過程(Process)→成果(Outcome)」モデル(Donabedian [1968])では、患者満足度は成果の一つに位置づけられ、またこれまでの満足度調査では、調査ごとに様々な満足度指標が用いられている(長谷川他[1993],今井他[2000],山本他[2004]など)ため、指標の標準化の必要性が高い。第二に、サービス・マーケティングの領域において、サービス製品の構造と品質評価過程について理論的・実証的に検討を行った研究(山本[1999])があり、特に、サービスの質の測定尺度としてSERVQUALが開発されている(Parasuraman, et al. [1988])。このSERVQUALは、今日まで次元拡張や精緻化の努力が継続され(松尾他[2001]など)、本研究での医療サービスの構成概念の構築に対しても有効である。 次に、患者満足度の質問紙収集の準備状況に関しては、本年度は数病院から実際の患者満足度調査の調査紙を予備的に収集した。それを踏まえて、本格的な調査紙の収集に向けて、郵便局から料金受取人払の承認を得た上で、調査依頼文や質問紙の郵送のための封筒の印刷を終え、現在ほぼ準備を完了した段階にある。
|