本年度は、これまで継続して行ってきた文献の検討および日本病院管理学会の参加や報告から得られた最新の研究動向を踏まえて、昨年度から準備していた「患者満足度調査の実施状況に関するアンケート」調査を実施した。本調査の目的は、患者満足度の実態を探るとともに、実際に病院で満足度調査の際に用いられている質問紙を収集することにあった。2007年9月1日時点で、YAHOO!ヘルスケアの病院情報に登録されている全国の8606件の病院から2000病院を抽出し、調査票を発送し、356件の回答が得られた。回収率は17.8%である。さらにその中の約三分の一の病院からは、実際の満足度調査の質問紙を得ることができた。本調査によって、今後、標準的な患者満足度指標の開発を進める上で極めて重要なデータ収集に成功したと言える。 現在、収集したデータの中の質問部分(満足度調査の実施状況および患者満足度調査に対する考え方)について、全体的な概要、病院の特性による差異など、多角的に分析を進めている。また、収集した質問紙に対しては、その分析方法を検討してきた。その結果、テキスト・マイニングによる分析の有効性が明らかになった。 質問紙のDB化に関しては、スキャナーによる電子化を試みたが、読み取りの精度に問題があり、直接電子化することは難しく、ファイルによる整理に留まっている。今後、テキスト・マイニングによる分析に進むために、別途電子化の方法を検討中である。
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