本年度は、2007年度に実施した「患者満足度調査の実施状況に関するアンケート」調査のデータを多角的に分析した(全国の8606件の病院から2000病院を抽出し、356件(回収率 : 17.8%)を回収)。まず、患者満足度の実施状況の結果として、次の点が明らかになった。質問紙を用いた患者満足度調査は260件(73.0%)の病院で実施されており、実施回数は、年間1回が166病院(63.8%)と多く、2回が53病院(20.0%)と続く。実施体制については、事務職員(226病院、86.9%)、看護師(220病院、84.6%)、コメディカル(153病院、58.8%)、医師(121病院、46.5%)の順で満足度調査に関与する職種の割合が高い。調査対象は、入院患者と外来患者の双方が228病院(87.7%)と大半を占めている。回収方法は、回収箱(222病院、85.4%)、手渡し(79病院、30.4%)、郵送(40病院、15.4%)の順である。予算化を実施している病院は55件(21.2%)に留まった。調査結果の扱いについては、報告書の作成(236病院、90.8%)、院内報告会(218病院、83.8%)、外部公開(218病院、44.6%)となっている。 また、患者満足度調査に対する考え方については、質問紙の標準化された雛形があればよいという意見が多い一方で、病院独自に設計すべきとの意見も半数近く存在している。分析については時系列分析、他病院との比較、診療科間での比較の順で関心が高いことが分かった。患者満足度調査は、病院経営改善、医療サービスの改善、アメニティの改善に役立つこと、特に、病院機能評価を取得する上で重要視されていることが明らかになった。 これら収集したデータは、病院における患者満足度調査の実態を明らかにし、患者満足度調査指標を検討する上で、極めて貴重であるため、今後も更に分析を深めていく予定である。
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