研究概要 |
本研究においては,ソーシャル・キャピタルと健康との関連性の検証を実証的に行うことを目的としている。したがって,平成18年度の研究においては,上記の検討が可能となりうる調査データの構築に関して行ったものである。具体的には,調査票に関しては,従来の欧米諸国において展開されてきた指標とわが国のコンテクストを加味したソーシャル・キャピタル指標を構築するとともに,日本人の「地域」という地理的範囲を検証しうる項目などから構成をしたものである。さらには,健康指標に関しては,主観的な健康指標と客観的な健康指標を網羅し,先行研究において示されてきた主とした主観的な側面によらない,新たな知見が今後,提示できるものと考えられた。また調査手法に関しては,分析において用いるマルチレベル分析の効率的,かつ効果的な適応が可能となりうるサンプリング方法を開発し,その展開を試みたものである。さらには,こうしたサンプリング手法は,調査実施コストの低減においても有用であることが明らかになったものである。こうした平成18年度の研究活動を通して,ソーシャル・キャピタルと個人の健康の関連性の検証において必要となる調査データを収集することが可能となり,次年度以降の研究においては,両者の具体的な関係性に関してマルチレベル分析を用いた実証的な検討を進め,今後の新たな健康政策への提案が可能となりうるエビデンスを提示していく予定であると考えている。
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