研究概要 |
通常の学級において,特殊音節に関する多層指導モデル,Multilayer Instruction Model(MIM:海津,田沼,平木,伊藤,Vaughn,2008)を実施した。多層指導モデル(MIM)は,まずは通常の学級において全ての子どもに対し,効果的な指導が実施される1stステージ,1stステージ指導のみでは伸びが十分でない子どもに対する通常の学級内での補足的な指導である2ndステージ,それでも依然,伸びが乏しい子どもに対し,より柔軟な形態で集中的な指導として実施される3rdステージで構成される。ここでは,3rdステージ指導に進んだ9名の子ども(平均年齢7.2歳,標準偏差0.24)への指導効果を評価した。3rdステージ指導は,3学期1月以降に週1度,給食の準備時間や放課後に一回20分から40分,小集団(5名以下)にてMIM特殊音節指導パッケージを用いて行った。このパッケージでは,(a)視覚化や動作化を通じた特殊音節の音節構造の理解,(b)日頃よく用いる語を逐字でなく,視覚的なかたまりとして捉えることによる読みの速度の向上,(c)日常語彙の拡大と使用を焦点においた。指導前後の効果測定には,特殊音節の読みのアセスメント,MIM-Progress Monitoring(MIM-PM;海津・平木・田沼・伊藤・Vaushn,2008)を用いた。結果,指導後に得点の上昇が有意にみられ,さらに読みに対する子どもの捉え方も肯定的なものへ変化した。
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