研究課題
本研究は、某本相互作用の一つである弱い相互作用の関与する現象を最新のテクノロジーを活用して高精度で調査する事で、素粒子の標準模型の検証、そして新しい物理の兆候を探察する事を目的として行われた. 不安定原子核のベータ崩壊の観測量のうち、特に雑音に強く構造不定性や絶対値測定による測定上の擾乱を強く抑制できる、R相関と呼ばれるベクトル三重相関について、独自の精密観測方法を発明し、その装置の開発から始めて実機の建設、加速器を用いたテスト、さらには研究期間内に本番の測定を行い、世界で初めて事象毎に飛跡再構成を行う方法で時間反転対称性の破れの検証実験を成功させる事ができた。このR相関は時間反転対称性とパリティ対称性を同時に破る相関で、標準理論に組み込まれている小林・益川理論ではほぼゼロであるはずであるため、相関が発見された場合にはただちに新しい物理の発見を意味するものである。本研究では具体的には、偏極した8Li核から放出される電子線の横万同偏極がゼロであるかないかを測定する、ドリフトチェンバーを用いた偏極度計を建設し、放射線源を用いた入念な開発研究の後に、偏極保持機構の開発なども含めた全システムを構築し高エネルギー加速器研究機構のTRIAC加速器において時間反転対称性の破れ探索実験を実行し、雑音事象に埋没しない形での初めての検証実験を成功させる事が出来た。本研究は圧倒的な高精度でのさらなる測定か可能なカナダのTRIU姫研究所における実験に発展的に引き継がれる予定である。
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)
European Physical Journal (印刷中)