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2006 年度 実績報告書

赤外領域で動作する低次元非線形光学材料の電子状態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18684014
研究機関名古屋大学

研究代表者

岸田 英夫  名古屋大学, 大学院工学研究科, 助教授 (40311633)

キーワードカーボンナノチューブ / 電場変調分光 / 非線形光学応答
研究概要

単層カーボンナノチューブ(SWNT)の非線形光学応答特性と電子状態の関係を明らかにするために、孤立化したSWNTの電場変調吸収スペクトルの測定を行った。SWNTを界面活性剤でミセル化し、ゼラチン膜中に分散させて膜状試料を作成した。吸収強度(吸光度)が約0.1程度の試料に85kV/cmの電場を印加し、0.8eVから3.5eVにおける吸収変化の測定を行った。その結果、SWNTの第一バンド間遷移吸収帯、第二バンド間遷移吸収帯の領域で吸収の増加および減少による多数の振動構造を観測した。信号強度(透過率の変化率)は第一バンド間遷移吸収帯の領域で〜10^<-5>、第二バンド間遷移吸収帯で〜10^<-6>であった。精密なスペクトル解析を行う目的で、ノイズを〜10^<-7>程度に低減しスペクトル測定およびその電場強度依存性を測定した。電場変調スペクトルは測定した全領域にわたって、電場強度によらず相似形であった。信号強度はすべての波長において電場強度の2乗に比例した。詳細なスペクトル解析の結果、観測された信号は励起子準位のシュタルクシフトによるものであることが明らかになった。励起子準位はほぼ縮退した複数の準位から構成されていると考えられる。シュタルクシフトによる信号のほかに、禁制準位に起因すると考えられる新たな吸収ピークも観測された。このように、SWNTにおける非線形光学応答を支配する励起準位構造を明らかにした。
またゼラチン膜中に分散させたミセル化SWNTの光学特性における環境効果を明らかにする目的で、吸収・ラマンスペクトルの温度変化、圧力変化、環境ガス依存性について測定を行った。その結果、ゼラチンに含まれる水和水が励起子吸収に強く影響(ピークエネルギーのシフト)を与えることを明らかにした。これは圧力効果ではなく誘電率変化などの環境変化が励起子状態を変化させたためであると考えられる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Dynamical Valence Fluctuation at the Charge-Density-Wave Phase Boundary in Iodide-Bridged Pt Compound [Pt(chxn)_2I]I_22006

    • 著者名/発表者名
      S.Takaishi, H.Kishida, 他14名
    • 雑誌名

      Journal of American Chemical Society 128

      ページ: 6420-6425

  • [雑誌論文] Sr_2TMO_3 (TM= Ni, Co) Compounds with 1D TM-O Chains2006

    • 著者名/発表者名
      M.Ohtani, H.Kishida, 他13名
    • 雑誌名

      Advanced Materials 18巻19号

      ページ: 2541-2544

  • [雑誌論文] Versatile vapochromic behavior accompanied by a phase change between charge-polarization state and charge-density-wave state in a quasi-one-dimensional iodo-bridged dinuclear platinum mixed-valence compound,[{NH_3(CH_2)_5 NH_3}_2]-[Pt_2(pop)_4I] - 4H_2O2006

    • 著者名/発表者名
      M.Yamashita, H.Kishida 他12名
    • 雑誌名

      Bulletin of the Chemical Society of Japan 79 (9)

      ページ: 1404-1406

  • [雑誌論文] Tuning of Electronic Structures of Quasi-One-Dimensional Bromo-Bridged Pd^<II> -Pd^<IV> Mixed-Valence Complexes by Substituting Counter Anions2006

    • 著者名/発表者名
      H.Arakawa, H.Kishida, 他7名
    • 雑誌名

      Bulletin of the Chemical Society of Japan 80

      ページ: 189-191

  • [図書] "変調分光"、光物性の基礎と応用(第5章)(光物性研究会組織委員会編)2006

    • 著者名/発表者名
      岸田英夫, 岡本博
    • 総ページ数
      15
    • 出版者
      オプトロニクス社

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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