研究課題
前年度までの研究により、カロテノイド部位の電子密度は非常に濃いが、数10分の1A程度のカロテノイドの構造変化を議論するためには2.5Aを切る高分解能の結晶を用いる必要があることが判明したが、これまでは直径250μm〜400μm、長さ1mm程度の大きな六角柱状の結晶でしか高分解能のX線回折像を得る事ができなかった。しかしながら光を用いた均一な励起を行なうためには少なくとも透過する光の波長が存在することが必須となる。本年はこの本質的問題について最終的な検討を行なった。天然体である紅色光合成細菌Rhodobacter sphaeroides 2.4.1の光反応中心色素蛋白複合体の結晶の大量調製を行い、得られた結晶について、(1)様々な形状・大きさ(小ささ)の結晶について大阪市大のX線発生装置(R-AXIS)を用いて分解能を確認すること、(2)実際にX線測定に供する結晶の透過率の波長依存性を調べて透過(励起)可能な波長を決定することに焦点を当てた。R-AXISを用いたプレ測定を繰り返し行なう間に、結晶の選択(結晶の仕込みか照測定までの時間や、実体顕微鏡による観察で結晶に割れ目、すじ、しわ、ゆがみなどが見照れるかどうか)、結晶の前処理(シッティングドロップのウェルからすくい上げるフィッシング操作、クライオプロテクション処理)で疑問を感じた場合にはほとんど高い分解能が得照れないということが明らかになった。これは結晶の大きさにはあまり関わりが無かったため、今回、実体顕微鏡観察でかろうじて光の透過が目視できる程度の大きさの結晶に焦点を絞り、繰り返し測定を行なうことにより、直径120μm〜150Fm、長さ400μm〜1mmの小さい六角柱状結晶についてR-AXISで3A程度の回折像を得ることに成功した。これを用いて近日中に、ビームラインにおいて時間分解測定を行なう予定である。
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