• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

スピン・軌道フラストレーション系における新奇な秩序状態とゆらぎの研究

研究課題

研究課題/領域番号 18684017
研究機関東北大学

研究代表者

松村 武  東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00312546)

キーワード希土類ホウ化物 / 幾何学的フラストレーション / 中性子散乱 / 共鳴X線散乱 / 構造相転移
研究概要

TbB4は磁気秩序状態でモーメントがc面内に寝ていると言われていたが,c軸方向の磁化過程が多段ステップを示すなどの異常があり,正確な磁気構造の決定を粉末中性子回折で行った.その結果,やはりモーメントはc面内に寝ており,かつ単位胞内で渦巻き型の構造になっていることがわかった.また,共鳴X線散乱も行ったところ,磁気秩序の発達に伴って,電気四極子も付随して発生することがわかった.
DyB4については,11-Boron同位体で作製した単結晶で中性子回折の実験を行い,phase IIでのc面内磁気モーメントの大きさは,共鳴X線散乱で観測された値よりもずっと小さく,10分の1以下であることがわかった.これは,中性子とX線の観測時間の違いによるものであり,X線では秩序化しているように見えるものが,実際は揺らいでいるために,より遅いプローブである中性子では観測されないためである.これにより,phase IIでのc面内モーメントは揺らいでいることが明らかになった.また,より詳細な共鳴X線散乱実験により,共鳴X線で観測しているのは磁気モーメントであることを明らかにした.
HoB4については,11-Boron同位体で作製した単結晶を使って,精力的に中性子非弾性散乱の実験を進め,常磁性相(phase I)および長周期磁気秩序相(phase II)において,2つの全く異なる波数の周りに非常にブロードな散漫散乱が同時に成長することを発見した.1つは長周期構造に相当するもので,もう1つは低温相(phase III)に相当するものである.同時に,長周期構造と低温相の構造に相当する弾性散乱ピークも,いわゆるセントラルモードのように散漫散乱の上に成長することも見出した.つまり,HoB4では,長周期磁気秩序と構造相転移を伴う磁気秩序とが競合しており,phase III直上では非常に大きなゆらぎが発生していることがわかった.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] Successive multipole orderings in TmTe, probed by 125Te-NMR2007

    • 著者名/発表者名
      A.Yamamoto
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan 76

      ページ: 014707

  • [雑誌論文] Non-collinear magnetic strucuture of TbB42007

    • 著者名/発表者名
      T.Matsumura
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan 76

      ページ: 015001

  • [雑誌論文] Magnetic phase transition in HoB4 studied by neutron diffraction2007

    • 著者名/発表者名
      D.Okuyama
    • 雑誌名

      Journal of Magnetism and Magnetic Materials 310

      ページ: E152

  • [雑誌論文] Pressure effect on the competition between ferromagnetic and antiferromagnetic spin fluctuations in TmTe investigated by 125Te-NMR2007

    • 著者名/発表者名
      A.Yamamoto
    • 雑誌名

      Journal of Magnetism and Magnetic Materials 310

      ページ: 741

  • [雑誌論文] Mechanism of resonant x-ray scattering to observe the orbital ordering2007

    • 著者名/発表者名
      Y.MuraKami
    • 雑誌名

      Journal of Magnetism and Magnetic Materials 310

      ページ: 723

  • [雑誌論文] Magnetic excitation of TmTe in the anomalous metallic state under high pressure2006

    • 著者名/発表者名
      T.Matsumura
    • 雑誌名

      Physica B 385-386

      ページ: 356

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi