研究課題
Yb系重い電子系での超伝導探索はこれまで20年以上続けられてきたが、その発見は今日まで報告がなかった。我々は新しい超純良な重い電子系Yb化合物、β-YbAlB_4の合成に成功し、極低温80mKまで非フェルミ液体の振る舞いを示すこと、Yb系重い電子系としては初めて、80mK以下で超伝導性を示すことを発見した。次に、パイロクロア型の近藤格子であるPr_2Ir_2O_7を取り上げた。この系は金属磁性体としては大変珍しく、強いフラストレーションのために低温まで長距離秩序を形成しない。2K以下で局在スピンは、短距離の相関を持った常磁性(スピン液体)状態を形成する。この低温状態において磁化測定を行った結果、結晶主軸[111]方向のみにメタ磁性転移が現れることが分ってきた。このことから四面体上のスピンは2-in2-outのスピンアイスに似た非平面的な局所構造を持っていることが分った。さちに、局在スピンがスカラ・カイラリティを持つこの低温常磁性状態において、自発的な異常ホール効果が現れることが明らかになってきた。また、高純度多結晶試料の作成に成功し、その結果、新しい磁気秩序状態が発言することを発見した。さらに、二次元三角格子NiGa_2S_4における不純物効果の実験から低温において現れる凍結状態がスピンのサイズ、異方性によって大きく変化することを明らかにした。また、この凍結状態は通常の磁気秩序よりも一桁以上幅の広い臨界状態を持つことを明ちかにした。最後に、競合した磁気相関を持つ量子物質として、我々の開発したCa_<2-x>Sr_xRuO_4を取り上げた。Ca_<2-x>Sr_xRuO_4は軌道の秩序により、様々な基底状態をとる2次元の多重バンド型モット転移系である。モット転移近傍の重い電子状態でのメタ磁性転移の中性子実験の研究から、数テスラの磁場で強磁性状態に転移することを明らかにした。
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