反応拡散系における秩序形成の問題は、自然現象・生命現象に見られる多くのパターン生成の類似性から実験的、数値計算的、理論的な研究が行われている。本研究では、自己組織化における時間空間的秩序構造の代表的例として知られるBelousoz-Zhabotinsky(BZ)反応に光フィードバック効果を付加することによるパターンの制御(新たな秩序形成)を通し機能の創成に発展させることを目的としている。本年度は、 (1)従来のBZ反応における光照射実験は、ゲルやメンブレン膜上で行われてきた。そこでは、抑制項の拡散が押さえられるという特徴があり、実験を容易にしていた。本実験においては抑制項の拡散も重要な要素となることが考えられる。そこで、水溶液系の光感受性BZ反応を採用した。本年度は水溶液系光感受性BZ反応の定量的特徴を理解するための基礎実験を行った。また、光感受性触媒には2種類あり、それらの特徴の違いなどの基礎実験を行った。 (2)高コントラスト、高空間分解能、高時間分解能をもつフィードバック光照射装置の構築を行った。 (3)光フィードバック効果を取り入れた反応拡散パターン制御の理論モデルとして曲率方程式にフィードバック効果付加したモデルにおける各種パラメータの近似とその妥当性の検討を行った。 以上まとめると、本年度は3力年計画の1年目にあたり、新たな実験装置の製作と基礎データの蓄積を行った。また、提案したモデルの定性的評価を行い、実験へのフィードバックを行った。
|