研究概要 |
本研究は,「{超マフィック岩-熱水活動-水素-ハイパースライム}リンケージ(UltraH^3リンケージ)が,初期地球において生命の起源の場を準備し,それに続く初期生命生態系の誕生を導き,現在に至るまでその生態系を支えてきた」とする仮説を,分野横断型研究アプローチによって検証することを目的とする。この目的のために、(1)フィールドワークに基づいたモダンタイプとしての現世の低・中速拡大中央海嶺域における,マントルの不均一性に支配されるUltraH^3リンケージの検証と,(2)実験に基づく現世および始生代の超マフィック岩(かんらん岩,コマチアイト),マフィック岩(玄武岩,ドレライト,はんれい岩)を用いたUltraH^3リンケージの再現と具体的な諸過程の解明を2本柱として研究を進めている。これまでのところ、極めて独創的かつ魅力的な作業仮説の提唱論文を発表し、研究アイデア自体の独自性を広く喧伝した。さらにフィールドワーク及び再現実験を用いたアプローチによって以下の様な具体的な成果が挙がりつつある。 実験に基づいたUltraH^3リンケージの検証 (1)フローリアクター式及びバッチ式の高温高圧水熱反応装置での実験を開始し、単純な熱水-岩石反応系における実験生成物,天然試料のガス、元素及び有機分析システムを完成させた。 (2)これまで困難であった原始的エネルギー代謝を有する微生物の高圧培養実験系を確立した。 フィールドワークに基づいたUltraH^3リンケージの検証 (1)大西洋中央海嶺及びインド洋中央海嶺における様々な熱水活動域の調査を行い、UltraH^3リンケージの検証を完了した。 (2)両中央海嶺のフィールド調査の結果から「UltraH^3リンケージの形成条件及び深海底熱水活動域における熱水依存性の微生物生態系の存在様式(水素ワールド)」を導き出した。
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