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2008 年度 実績報告書

下部マントル最下部に存在する地震波低速度層の起源の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18684030
研究機関独立行政法人海洋研究開発機構

研究代表者

小野 重明  独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 主任研究員 (20313116)

キーワードコア / マントル / 地震波速度 / 低速度層 / 高温高圧
研究概要

本研究課題の目的は、地震学的観測から報告されている下部マントル最下部での地震波の低速度層の起源を解明することである。その目的ため、マントル物質およびコア物質の物性特性について、高温高圧条件でのその場測定を行うことを試みた。最終年度では、純鉄と流体鉄とケイ酸塩マントル物質の反応物の一つと考えられている炭化鉄について研究を行った。その結果、純鉄は、地球下部マントルに相当する圧力条件では、磁気相転移を起こし、反強磁性体から常磁性体へ変化が起こることを確認した。つまり、コア・マントル境界に相当する圧力条件では、常磁性体の純鉄が安定であり、常磁性体の物性を用いて、地震波速度の見積もりを行うことが必要であることが判明した。また、炭化鉄の研究においても、強磁性体から常磁性体への磁気相転移が起こることを確認し、常磁性体の弾性波速度の見積もりを行った。これまでの研究結果から考察すると、下部マントル最下部での地震波の低速度層は、固体の物性変化のみでは説明することが困難である。これらのことから、低速度層の起源として、液体の存在が必要であることが導かれた。低速度に対する寄与としては、ケイ酸塩メルトより、鉄のメルトの方が大きく、少ない量で、低速度領域を形成することが可能である。一方、下部マントルに相当する温度では、温度が低すぎるため純鉄のメルトは固化してしまい、安定ではない。したがって、ある程度の軽元素が溶け込んだ鉄メルトであることが必要であることが導かれた。ケイ酸塩メルトの可能性については、ある程度の量のケイ酸塩メルトが存在すれば、低速度を説明できる。しかし、この場合、多量のメルトは浸透流により、上方へ移動していってしまい、安定に存在することは難しい。可能性としては、固体よりも密度が大きいケイ酸塩メルトの存在が必要であることが判明した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Experimental constraints on the temperature profile in the lower mantle2008

    • 著者名/発表者名
      S. Ono
    • 雑誌名

      Phys. Earth Planet. Inter. 170

      ページ: 267-273

    • 査読あり
  • [雑誌論文] High-pressure phase transformations of FeS: novel phases at conditions of planetary cores2008

    • 著者名/発表者名
      S. Ono
    • 雑誌名

      Earth Planet. Sci. Lett. 272

      ページ: 481-487

    • 査読あり
  • [雑誌論文] First-principles simulation of high-pressure polymorphs in MgAl_2O_42008

    • 著者名/発表者名
      S. Ono
    • 雑誌名

      Phys. Chem. Minerals 35

      ページ: 381-386

    • 査読あり
  • [学会発表] Synergy Between High-pressure Experiment and First-principle Computation in Study of Earth's Deep Interior2008

    • 著者名/発表者名
      Shigeaki Ono
    • 学会等名
      AGU Fall Meeting
    • 発表場所
      The Moscone Center, San Francisco
    • 年月日
      2008-12-18

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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