研究概要 |
[1]硫黄同位体比分析のための質量分析計の調整:平成18年度に導入した連続フロー型の質量分析計を用いて硫黄同位体比分析ができるように調整を行った。(1)標準ガスの圧力安定化のための改善、(2)メモリー効果低減のためのテフロン製部品の使用、(3)SO2ガスの酸素同位体比の平衡化により、これまでの測定よりも高精度の分析が可能になった。+/-0.1 permil以下の精度での分析が可能になっている。これらの結果をまとめて、10月に日本質量分析学会 同位体比部会において発表を行った。また、調整に関わるデータをまとめたものを論文として投稿中である。 [2]成果公表:"Sulfur isotope geochemistry of sulfidic springwaters at Marche region,central Italy"というタイトルで国際会議(VM Goldschmidt Conference)において成果を公表した。硫黄同位体比の分別程度が何に支配されているのかを議論した。 [3]地質境界試料の採取:ハンガリー共和国において大量絶滅に関連する地質境界(ペルム紀-三畳紀境界)に対応する試料を採取した。 [4]Carbonate-associated sulfateの同位体比標準試料:炭酸塩鉱物には炭酸を置換して存在する硫酸(Carbonate-associated sulfate)が含まれている。他の成分(硫化物、有機物)と分離して、炭酸置換硫酸を得る方法はいくつか提案されているが、どの方法が適しているのかは明確ではない。それは分析してそのもっともらしさを示すことができるような標準試料が存在しなかったためである。そこで現在流通している炭酸塩鉱物の標準試料に含まれている硫酸濃度を繰り返し測定し、標準試料になりえるのかを検討している。
|