高強度レーザーショックでのみ実現する物質極限環境において、最も単純なユゴニオ状態から外れた圧力・温度を生成するための制御法の実証と、この領域で全くなされてこなかった実圧縮中の高精度その場計測及び回収試料解析を目指して、平成18年度に以下のような研究を行った。 i in-situ・in-time衝撃圧縮パラメータ計測のための計測器・実験環境整備 i-1 ターゲット観測用顕微鏡筒の設計・製作を行った。5軸駆動を持つ第一レンズ系を構築した。 i-2 2チャンネルの時間空間分解型速度干渉計(VISAR)を構築し、ストリークカメラ(可視域)を用いて計測を行った。異なる速度感度を持った2台のVISARがうまく機能した。 i-3 可視ストリークを用いた放射輝度温度計の構築に成功し、VISARとの同時利用が可能となった。 ii ターゲット最適化 ii-1 ターゲットを最適化するための1次元流体シミュレーション計算を行った。また、2次元の流体コードによる計算では、衝撃波圧の収束・発散が顕著にみられ、材料や粒径の組合せ評価に有益な知見を与え得ると結論できた。 ii-2 製作したターゲットの密度をラザフォード後方散乱計測により定量的且つ正確に評価した。 ii-3 東工大応セラ研の150Jロングパルスレーザーシステムを利用したテスト実験環境整備を行った。 iii 高強度レーザーによる衝撃波および準等エントロピー圧縮実験 iii-1 固体ダイヤモンド単体に多段の衝撃波を伝搬させその状態量の計測と回収を行った。レーザー高密度物性研究に適した回収技術が確立できた。裏面計測で反射率の異常な上昇が見られた。 iii-2 炭素と同様の相構造を、比較的低圧で持つシリコンについて、単一ショックと等エントロピー的圧縮のテスト実験を行い、速度の時間発展を計測して不連続的な相転移境界を示すデータが得られた。この領域で初めてシリコン回収実験を実施し成功した。
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