酸化チタン界面における励起子の生成と移動か関与した光誘起電子移動反応機構を解明するたゆに、伝導性有機物を酸化チタン表面に担持し、その光電荷分離状態並びに再結合反応速度に関する研究を行った。その結果、有機物と酸化チタンとの電子相互作用が強い場合には、表面の電荷による静電場の影響を受けるために有機物の酸化還元電位が広範囲に分散することを示唆するテータを得た。その場合に、電荷分離効率が99%以上の確率で進行することが分かった。一方、電荷再結合反応は他の色素吸着系と比べると速くなり、太陽電池へ応用するには不向きであることが分かった。 硫化カドミウム量子ドットの電子準位に関する情報を得るために、量子ドットの界面の制御による発光強度の変化と表面構造との関係を調べた。XPSを用いた詳細な観察の結果、発光強度の増加に伴い、Cd-OH結合が生成することが分かった。 硫化カドミウム量子ドット増感太陽電池において漏れ電流の性能に及ぼす影響について調べた。その結果、導電性ガラス基板との交換電流密度が高いレドックス電解質を用いると、短絡し、性能が大きく低下することが分かった。このため、電子ブロッキング層をスプレー法により作製すると、数十ナノメートル程度の厚さで漏れ電流が効果的に抑制されることを見出し、変換効率1%を達成するにいたった。一方、交換電流密度の低い電解質を用いると、電子プロッキング層の有無に関わらず、漏れ電流はほとんど抑制されることが分かった。このことから、電解質種によって電子ブロッキング層の必要性を比較することが可能となった。
|