現在までにMn^<III>_2M系強磁性型単一次元鎖磁石、Mn^<III>M系ヘテロスピン単一次元鎖磁石などの幾つかの化合物を見出し、その磁化緩和現象について解明してきた。今回、Mn^<III>_2Cu^<II>S=7/2強磁性単一次元鎖磁石を合成し、その磁化緩和現象を解析したところ、シンプルな単一スピン反転によるGlauberダイナミクスでは説明できない磁化緩和現象を見出した。この化合物は、[Mn^<III>-Cu^<II>Mn^<III>]反強磁性S=7/2をスピンユニットとして、弱い強磁性的相互作用で連結された一次元鎖である。以前に報告したMn^<III>_2Ni^<II>S=3単一次元鎖磁石のSの大きさとスピンユニットの異方性(D)が異なることで解釈されるはずだが、異なる点として、スピンユニットが二量化したJ_1とJ_2の交互鎖を形成している点がある(J_1>J_2)。この場合、スピン反転機構は理論的にはJ2に縛られたダブルスピン反転により解釈できるが、実際に、J_1とJ_2の平均(シングルスピン反転)で考えるよりも、J_2のダブルスピン反転で取り扱う方が実験データをよく再現することが明らかとなった。今後強磁場EPR等の測定により磁化反転機構の解明を行う。
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