昨年度開発した、共有結合・物理吸着併用キャピラリー作製に関し、その高感度化を実施した。ここでは1次抗体・グルコースオキシダーゼを共結合、ペルオキシダーゼ標識2次を含有したポリエチレングリコール膜をその上から物理吸着させたキャピラリーを作製した。ここにグルコース・アスコルビン酸・蛍光基質を含んだ試料抗原溶液を導人したところ、抗原濃度の違いによる蛍光強度の差が現れ、ng/mlオーダーの高感度検出が可能になることがわかった。バイオセシング系の拡張については、試料導入のみの1ステップでバイオセンシングが可能となる新規キャピラリー内壁修飾法として、可塑化PVC膜を用いたイオンセンシング膜と酵素放出膜の2層構造を作製する方法を考案した。この方法では試料導入とともに酵素が試料溶液内に放出されて酵素反応が進行し、生成物がイオンセンシング膜によってされる仕組みになっており、種々組み合わせにより、バイオセンシング系の拡張が可能である。ここでは一例としてウレアーゼおよびアンモニウムイオンセンサー膜を用いた尿素センシング系の構築を試みた。キャピラリー作製の評価では、イオンセンシング膜がまず角型キャピラリー内壁の四隅に固定され、酵素含有ポリエチレングリコール膜がその上に厚い膜としで固定されることを蛍光・実体顕微鏡観察で明らかにした。また、実際に尿素試料測定を試みたところ、1ステップでのセンシングが可能であることがわかった。その他、フッ素化溶媒用いるイオンセンシング系構築およびSU-8を用いるPDMSチップ作製に関しても一定の成果を得ることができた。
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