研究概要 |
ヘテロ原子上に種々のヘテロ原子系転位基を有する基質の触媒的環化反応がヘテロ原子-ヘテロ原子結合付加を伴って進行することを明らかにした。窒素上にスルホニル基を有するオルトアルキニルアニリンの環化反応が金触媒の存在下窒素-硫黄結合の付加(アミノスルホニル化)を経て進行し対応する3-スルホニルインドールを良好な収率で合成されることを明らかにした(Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 2284にて公表)。3-スルホニルインドールはL-737,126などの重要な生理活性物質の基本骨格であるが、従来スルホニル基をインドール骨格に直接導入することは困難であるとされていた。今回開発した手法はこれらの化合物の簡便合成法として期待できる。またこのアミノスルホニル化反応を6位にメトキシ基が導入された基質に対し、インジウム触媒を用いて反応を行うと前例のない[1.7]スルホニル転位を伴って進行し対応する6-スルホニルインドールが良好な選択性で生成することを明らかにした。また、オルト位にシリルチオ基を有するアルキニルベンゼンの反応が金触媒により進行し対応する3-シリルベンゾチオフェンが高収率で生成することを明らかにした(Org. Lett. 2007, 9, 4091にて公表)。交差実験の結果このチオシリル化反応は活性中間体からの分子間でのシリル基の転位により進行することを明らかにした。これはカルボチオ化反応と対照的な結果である。
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