研究概要 |
平成20年度は, 並列化チャネル数の増大, および, コア径, ピッチの調整を目的に, 2×8チャネル並列導波路の作製を試みた. プリフォームとなるプレート状母材の断面積を同一としているため, プリフォーム中のコア径自身をこれまでの約4mmから約2mmへと縮小した. その結果, プリフォームの最適作製条件の決定に時間を要したが, 最終的に2×8チャネルのポリマー並列導波路の作製に成功した. この導波路は, コア間スペースがほとんど存在せず, 隣接コアが外接した状態になっていたが, クロストークは-30dBを下回る極めて良好な値を示しており, 屈折率分布型コアの利点が確認された. この導波路のコア径は80ミクロン程度であったが, 延伸倍率を上げ, 10ミクロン程度のコア径で作製することでシングルモード化も十分可能であることが示唆された. しかしながら, 現時点では, マルチモードポリマー光導波路に比較して, シングルモードポリマー光導波路の技術的優位性が明確になっていない. コア径が極めて小さいシングルモードポリマー並列光導波路の全チャネルを, 高精度にレーザーアレイ, ディテクタアレイと結合する実装技術(コネクターを含む)の技術開発が急務であると考えられる. 一方, 本研究で試作したポリマー並列光導波路は, その機械的柔軟性から, フレキシブル基板と組み合わせ, 携帯電話端末内のボード-LCD間インターコネクションへの用途展開が期待されている. そこで, 導波路を折り曲げた際の光損失, クロストークについての評価を行った. その結果, 曲げによる多少のクロストーク増大が確認され, コア部の最適NA設計が重要となることが新たに示唆された.
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