研究概要 |
PtRu合金は固体高分子形燃料電池(PEFC)や直接メタノール形燃料電池(DMFC)のアノード触媒として有望視されているが,貴金属利用率の向上,劣化機構の解明ならびに抑制などが課題である。本研究課題では,触媒活性を有しかつ電気化学的に安定で良好なプロトン・電子混合導電性を有する水和酸化ルテニウムや酸化ルテニウムナノシート等を新規な助触媒ならびに活性担体としての機能について検討し,助触媒効果のメカニズム解明,燃料電池触媒の活性および耐久性の向上を目指す。平成19年度はPt微粒子とルテニウム酸ナノシート(HROns)とのナノ複合体を調製し,PEFCやDMFC関連物質(一酸化炭素,メタノールなど)のアノード触媒活性を検討した。また,HROnsへのメタノールの吸着挙動を調べ酸化ルテニウムナノ粒子との違いを検討した。Pt超微粒子をHROnsに担持した新触媒Pt/HROnsのCOならびにメタノールの電解酸化活性を検討した結果,炭素担持白金触媒にHROnsを被覆した従来触媒よりも活性が高く,PtRu合金触媒と同等の活性を有することを見出した。PtRu合金よりも新触媒は耐久性に優れると予想され,高活性・高耐久性触媒として期待できる。またHROnsや酸化ルテニウムナノ粒子へのメタノールの吸着挙を検討した結果,HROnsはメタノールが吸着しにくいことがわかった。一方,酸化ルテニウムナノ粒子の場合表面でメトキシを形成し,助触媒としての機能が低下する。
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