本研究課題で挙げた「高集積SPRセンサー」の実現に向けて、計画に従い本年度はその基本的現象となる周期構造内の表面プラズモンポラリトン(SPP)のバンド特性(分散特性)の解析を行い、(1)周期構造による共振器による第一バンドギャップ端を利用したSPRセンサーの手法、(2)高次バンドとなる周期構造を利用したSPPと外部光線を結合させるカプラーの設計・開発を行った。(1)について、数値解析からセンサー感度を見積もり、他の手法と同等の感度が期待できる事が確認された。(2)について、基板面に垂直に入射された光線を40%以上の効率でSPPに変換する事ができる構造を発見した。更に高度な最適設計により更なる結合効率向上の余地も残されているため、(1)(2)を合わせて作るセンサーアレイチップのデザインによってマイクロチップデバイスに適したSPRセンサーの機構が期待され、そのためのデザイン例を考案し提案した。このセンサー・アレイチップについて当初の研究計画を前倒ししてセンサー部の試作及び評価の為の測定系の開発も進めている。プロセスには大学共用施設を利用して、基板上製膜されたAg層に1層の透明誘電体膜を製膜しリソグラフィーの手法によって(1)センサー検知部と(2)結合器のデザインパターンを転写したものについて、本支援により開発した照明系と顕微測定系によりセンサー動作の確認と結合効率の評価を進めている。 これらの成果をまとめたものについて、国際会議(1報)や国内学会(1報)で公表し、論文1報を投稿している。
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