光切断式テラヘルツ時間領域分光法(THz-TDS)イメージング法(THzカラースキャナー)に関しては、測定SN比をさらに向上させるため、位相整合型チェレンコフ放射によるTHzパワーの大幅な増大を試みた。回折格子とレンズを用いてパルスフロント面を傾斜させたフェムト秒レーザービームを酸化マグネシウム添加ニオブ酸リチウム結晶に入射することにより、結晶内で位相整合を保ちながらチェレンコフ放射が起こり、効率的なTHzパルス発生が可能になる。今年度は、回折格子・結晶・レンズを含めた光学系の設計を行い、実際に装置を構築した。これまでに信号検出には成功しているが、十分なパワー増大は得られていない。光学系のさらなる微調整が必要であると思われる。 超短パルス光誘起生体THz-TDSイメージングでは、生体コラーゲンとフェムト秒レーザー光の非線形相互作用(2次の非線形光学効果)により生体THz光をレーザー焦点近傍の領域(数μmオーダー)で局在的に発生させ、この微小THz点光源を3次元的に高速ビーム走査することにより、THz光の回折限界を超えた3次元高分解THzイメージングを実現する。今年度は、本手法によって達成可能な空間分解能を見積もるため、生体THz光と同じ2次の非線形光学効果で発生する生体SHG光を用いて、ヒト組織コラーゲンの3次元SHGイメージングを行った。その結果、1μm程度の空間分解能が達成可能であることを確認した。さらに、生体THz-TDSイメージング装置の構築を行ったが、現時点で生体THz光は確認できていない。開発装置における測定SN比の改善が必要と考えられる。
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