研究課題
平成18年度は、主に基板検出型THz波検出器の最適素子構造の設計、試作、基本的な特性の評価を行うこと、ならびに光学系の構築を目標とした。超伝導トンネル接合素子をTHz波検出器として用いるための最適構造を見出すため、フォトマスクの設計、素子作製、作製した素子の評価を行った。まず超伝導トンネル接合素子の下部電極の面積に着目した。THz波をうける下部電極の面積を大きくすることで、検出波高値の増大を試みた。具体的には、70、100、200、400、800μm^2角の異なる下部電極面積の素子を作製し、評価を行った。その結果、下部電極の大きさを変化させても波高値はほぼ一定であることがわかった。ここで、評価した素子はすべて上部電極が一定であることから、下部電極の大きさを一定とし、上部電極の大きさを変化させ、素子サイズの最適化を図った。その結果、波高値は上部電極面積に比例したいことがわかった。つまり、THz波が基板に照射され、生成された準粒子に拡散距離が存在することになる。その拡散距離をおおよそ7μmと見積もっているが、測定データが少ないため平成19年度に新たなマスクを設計して拡散距離を求める予定である。次に超伝導トンネル接合素子作製に用いている基板材料の最適かも試みた。基板吸収型THz波検出器では、基板にLiNbO3、LiTaO3を用いている。これまで超伝導電極材料にNbを用いていたが、検出波高値の増大や基板と検出器界面でのインピーダンスマッチングなどの点からTaに着目した。しかしながら作製、測定の面で既存の装置を利用することができず、現状の作製方法・測定方法を改良する必要があることがわかった。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Institute of Physics Conference Series Vol. 43
ページ: 1303-1306
Nucl. Instr. And Meth. A559
ページ: 751-753