研究概要 |
本研究の目的は,熱陰極型高周波電子銃における唯一にして最大の欠点を独自の新規方式(高周波印加制御電極付き=三極管型)により解決し,もって,小型経済的,高機能,高出力なテラヘルツ・赤外領域の新規光源の実現と新たな光科学研究領域の開拓に寄与することにある.そのため,本研究期間内においては,この新方式による高輝度電子ビーム生成の大幅な長パルス化の実証,すなわち,既設高周波電子銃に対して制御電極付陰極を設計・製作し,既設高周波電源の最長パルス長(10μ sec)までの長パルス化と,更なる長パルスの運転の可能性と限界とを明らかにすることを目標としている.そのため,本年度は; 1.粒子シミュレーションを用いた高周波三極管構造の設計,特に熱陰極材の選定や空間電荷効果を抑制するための電極形状の最適化を行った.併せて,プロトタイプによる高周波電力印加試験等を行い,本年度製作する原理実証機の設計を完了した. 2.さらに,この最終設計に基づき製作に取りかかった.次年度当初からのコンディショニングを予定している. 3.得られた最終設計において,数値解析予測では,横方向エミッタンスの劣化は無く,逆流電子電力を約90%削減可能で,さらに,縦方向エミッタンス(ピーク電流)も数倍向上するとの結果が得られた. 4.上記1の設計過程で得られた知見や,上記3の数値解析と予測性能について主に国内の学会を中心に積極的に成果を公開した.
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