研究概要 |
本年度は昨年度に引き続き,センサや駆動機構の設計指針を明らかにするためにさわり心地や手触り感を得るためにヒトがどのような触動作を行っているか調査を行った。また上記によって得られた触動作の情報を生かし,昨年作製したセンサシステムにおいて,得られるセンサ出力について調べる。得られた結果を要約すると以下の通りである。 1.対象物を布(レディースインナーニット6種)としてヒトによる手触り感を判断する時の触動作(なでる動作)について昨年度購入した触感計を用いて調べた。調べた項目としては,接触力,摩擦力,走査時間であり,一般被験者と熟練者について調査を行った。結果として,サンプル間において触動作の差はないことが確認された。また,一般被験者と熟練者の走査時間はほぼ同じであったが,力に関しては熟練者のほうが一般被験者に比べ非常に小さいことがわかった。これに関して,一般被験者に対して接触力を変化させ,対象物を走査させた場合の受動触覚実験を行ったところ,一般被験者の風合いの評価能力は接触力によって変化しないことがわかった。 2.センサの表面についてウレタンなクリレート系樹脂で高さ250マイクロメートルの点状,高さ80マイクロメートルの線状を基本とする7種類の表面性状を作製し測定を行い,ヒトの手触り感実験と比較した。結果より表面を格子状としたときが触感測定のセンサ性能が向上することが確認された。 3.作製したセンサシステムを用いて接触力を変化させた場合の,ヒトの手触り感実験によって得られた重要な因子である「じっとりウェット感」と「ふんわりやわらか感」の両因子との相関係数について調査した。結果として両因子と相関が大きくなる接触力が存在することが確認された。
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