本研究は空間分解能が10μmに達する高分解電荷密度分布測定システムを構築し、帯電・放電現象の高分解計測を行い、絶縁物の帯電機構および沿面放電進展機構を解明することを目的とする。 研究内容を大別すると、(1)沿面放電の微細機構測定用センサの開発、同センサによる測定、機構解析(2)電荷密度分布測定対象の拡張、(3)GISモデルスペーサ表面帯電測定システムの開発、測定、機構解析、となる。本年度は昨年度に引き続き(1)と(3)を中心にとりくんだ。 (1)で開発するシステムは、誘導型の表面電位計(測定プローブ)を沿面放電を進展させる絶縁物の裏側に埋め込む形をとる。本年度は主に低入力容量のFETプローブを用いてオシロスコープに取り込むタイプのセンサを東京大学武田先端知クリーンルームにて電子的なプロセスを用いて作成した。本プロトタイプセンサを用いて、沿面放電現象の測定を図ったが、下記の問題点が解決すべき課題として浮上した。 1.放電電極間の抵抗値が10〜100k・ときわめて小さい 2.高圧電源からのプローブ出力読み出し配線部分への静電誘導がセンサ出力期待値の10倍程度 1については、Grassの除去、および仕上げのICPエッチングが不十分であっためと考えられ、今後はセンサ構造をSiO2基板に検出電極層、絶縁層、放電電極層を積み上げるものに変更することによりクリアする予定である。また、2)については、読み出し回路部分をシールドしたところ、センサ出力期待値程度まで静電誘導成分を減らすことに成功した。この測定プローブの出力は、最終的にはc-MOSにより直読することを計画している。c-MOS直読回路は本年度に基本部分の設計を行い、引き続き来年度にかけて試作する。試作についてはフランスモンペリエ大学のIES Institut d'Electronique du Sud/groupe MITEA研究グループと共同開発を行う予定である。 (3)に関しては、SF6ガス中のGISモデルスペーサの直流電界下における帯電測定を行った。帯電パターンを実験条件により分類するとともに、絶縁性の異物により、放射状の帯電が生じることを確認した。
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