研究概要 |
平成18年度の研究実施計画は「1.磁気センサによる疲労評価の確立と熱処理による疲労緩和・回復に関する検討」であった。具体的には、これまでの研究代表者の研究成果に基づき、磁気センサを用いた漏洩磁束量測定による金属疲労評価を行っていく計画であった。更に、研究代表者が所属する研究室の非破壊評価手法に関連する研究成果を踏まえて、具体的に以下に示すセンサで鉄鋼材の疲労評価を同時進行で行っていく計画であった。 (1)これまでの研究代表者の研究を継続し、高感度薄膜FGセンサ(島津製作所製、試作品)、あるいは所有する市販ホールセンサを用い、漏洩磁束量測定による疲労評価 (2)当研究室が特許を有する多重周波励磁スペクトラムECTセンサによる疲労評価 (3)磁束密度Bと磁界強度Hを同時測定可能な独自開発小型磁気センサを用いたヒステリシスループ測定による疲労評価 (4)研究代表者らが開発した移動磁界センサ、回転磁界センサを用い、磁気特性測定による疲労評価 (5)当研究室が開発した磁気センサを用いたバルクハウゼンノイズ測定による疲労評価 (6)その他、市販の高感度磁気センサ(MR, GMR, MIセンサ等)を用いた疲労評価の検討 (7)当研究室が保有する巻線器による新規提案磁気センサを用いた疲労評価 上記(1)〜(4),(5)については基礎的な検討を行い、研究成果の報告を行った。更に、上記(1)〜(7)のすべての評価を可能とし、既存システムの性能を大幅に上回る高精度・高感度なシステムの構築を初年度に行った。また、初年度は、疲労・損傷評価と並行して、熱処理により、疲労緩和・回復に関する検討を行っていく計画であった。熱処理によりこれまでに報告がないような鉄鋼材の機械特性変化およびその磁気特性変化を掴んでいるが、疲労緩和・回復に関する詳細な検討を行うまでには至っていない。次年度早期にこれらの詳細な検討を行っていくことで初年度の研究成果を発展させていく予定である。
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