研究課題
磁気センサを用いて金属疲労評価の検討を行い、電磁誘導加熱技術によるスポット熱処理による金属損傷緩和・回復技術に関する検討を行った。金属疲労評価の成果に関しては、以下の2つに大別できる。1. オーステナイト系ステンレス鋼 : 家庭用品から原子力分野まで用いられているオーステナイト系ステンレス鋼は非磁性であると考えられていた。本鋼は損傷を受けることによって加工誘起マルテンサイト変態を起こし、変態部分は磁性相となる。この特性に注目し、ひずみ及び疲労を受けたオーステナイト系ステンレス鋼を着磁し、高感度磁気センサを非破壊的に走査することによって、ひずみ分布及び疲労分布を測定できることを明らかにした。同一環境下では、磁気センサの測定値からひずみ量、疲労量を定量的に評価することがある程度可能であった。2. 一般構造用鉄鋼材 : 軟鋼に代表される一般構造用鉄鋼材の場合、バージン材から強磁性を呈する。磁気センサを用いて非破壊的に損傷度合いを評価することは困難であった。本研究では磁壁移動に起因して発生する磁気的信号であるバルクハウゼン信号に着目し、複雑なバルクハウゼン信号からひずみ量、疲労量を評価出来ることを明らかにした。また、電磁誘導加熱技術を用いて、一般構造用鉄鋼材に局部的に熱処理を施した場合の機械特性・磁気特性評価を行った。局部的に熱処理を施した試験片の磁気特性を詳細に把握するために、磁束密度Bと磁界強度Hを同時測定可能な独自開発磁気特性測定システムを開発し、損傷した鉄鋼材、および損傷材に熱処理を施した試験片のヒステリシスループ測定を行い、局部的な熱処理条件と磁気特性・機械特性の関係を調べた。その結果、電磁誘導加熱処理技術を用いる場合、コイル形状による熱応力場を考慮する必要があるが、熱処理条件によっては、一般構造用鉄鋼材の機械的特性を改善することが出来ることを明らかにした。
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