研究概要 |
本研究は,地中RC構造物の施工および長期供用期間における材料/構造耐久性,耐震性能および修復限界性能を,地下水の存在/流動/長期変動および構造物を取り巻く周辺地盤との相互作用を考慮した評価を可能とする,コンクリート-地盤-地下水連成解析システムの開発を目的とした。本年度の研究の主たる内容を以下に示す。 地下水と構造物の相互作用の問題として,カルシウム溶脱を検討し,地下の流動やコンクリートがひび割れを有する場合について,その影響を検討し,挙動を解明した。地下水流動条件下では,透水量とともに流動速度が影響し,流動速度が速くなる場合には固液平衡関係が保たれず,溶出イオン濃変が低下することを示した。コンクリートがひび割れを有する場合には,ひび割れ部から溶脱が進行するが,ひび割れ部の閉塞現象が影響することが示された。また,高炉スラグ微粉末の影響についても検討を行い,溶脱抵抗性が向上することを確認した。地盤と構造物および間隙水の組成を影響に関して,コンクリートとベントナイトの接触境界面での相互作用を検討し,挙動を分析した。 地中コンクリート構造物の耐震性や常時安定性について,数値解析を用いて検討を行った。 コンクリートの養生過程における水分供給条件が形成される空隙構造や達成材料品質に及ぼす影響を検討した。気体拡散係数,透水係数,塩化物イオン拡散係数などの物質移動透過性に着目した検討を行い,乾燥における炭酸化の影響を分析した。また,水銀圧入法で計測される連続空隙の総量と物質移動抵抗性が相関を有していることを確認した。
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