研究概要 |
本研究課題では,利用者のニーズに応じて適切な公共交通機関を割り当てるようなフレキシブルな統合型公共交通システムを次世代型の公共交通システムと位置づけその実現を目指す.研究初年度である平成18年度における研究成果は以下の通りである. (1)文献調査 土木工学の分野にとらわれず広範に文献調査を実施し,柔軟かつ大胆な料金体系や囲い込み戦略の特性について整理した.また,様々な料金体系下における利用者行動を把握するために,不確実性下の行動理論ならびに予約行動の理論について文献調査を実施した.また,アクティビティシミュレーションの研究動向についても併せて整理した. (2)使用回数期限のある交通サービスの消費行動に関する分析 高齢者・障害者の方々の交通行動データからの交通機関選択行動のモデル化に関して分析を進めた.月ごとに無効となってしまうタクシー補助券の利用状況をふまえて月末までの残存日数やすでに消費した枚数などを考慮した交通機関選択のモデル化の方向性を検討した. (3)デマンド応答型交通の成立可能性に関する分析 デマンド応答型交通システムの成立可能性に関して,DRT運行事業者と利用者間のゲームを想定することによって検討を加えるフレームワークを構築した.DRT運行事業者の運行計画および利用料金決定を,利用者の経路選択行動に基づき行うモデル化を行った. (4)シミュレーション計算のためのコンピュータ環境構築 本研究では個々人が自身の意思決定をベースに仮想空間を移動するアクティビティシミュレーションモデルによる評価を目指している.研究初年度においては,そのための計算環境の整備を行った.
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